日本涙道・涙液学会涙道内視鏡診療の手引き作成委員会
涙道内視鏡診療の手引き 序
本邦で涙道内視鏡が涙道診療に利用されて、20年が経過する。涙道内視鏡の有用性が認識され、徐々に広まってきている。涙道内視鏡の導入を安全に行うことを目的として、2015年に、「涙道内視鏡検査実践ガイド」を出版した1)。その後、涙道内視鏡の改良、複数の形状のプローブの開発、画像処理装置の組み込みなどがあり、画像の鮮明化、操作性の向上が達成されている。また、小児の涙道疾患に対しても、涙道内視鏡の有用性が報告されてきている。しかしながら、涙道内視鏡は涙道内の観察・操作には有利であるが、涙道を取り巻く周囲組織との関係性の把握には適さないことも周知されてきている。今後さらなる知見の蓄積により、質の高いエビデンスが明らかになっていくことが期待される。現段階では、ガイドラインとしてのエビデンスが十分ではないことから、「涙道内視鏡診療の手引き」として新たな知見を盛り込んで、記述している。主な追加点としては、以下のような事項がある。
① 涙道内視鏡を併用した治療方法について。一般例、特殊例、小児例としてまとめている。
② 合併症について記載した。
新たな出版にあたって、涙道内視鏡診療の手引き作成委員、日本涙道・涙液学会理事・会員の多大なご助力とご支援に深く感謝申し上げたい。
本手引きが、本邦の涙道診療の一助として用いられることを期待する。
2023年10月
日本涙道・涙液学会涙道内視鏡診療の手引き作成委員会
委員長 杉本 学
(日眼会誌127:896-917, 2023)