理事会から

2025/08/10

新体制で迎える二誌の未来―編集担当理事としてのご挨拶New

 このたび、日本眼科学会の編集担当理事を拝命いたしました根岸一乃です。責任の重さを感じつつ、両誌のさらなる発展に貢献できるよう精一杯努力する所存です。
 日本眼科学会が発行する二誌―英文誌Japanese Journal of Ophthalmology(JJO)と和文誌 日本眼科学会雑誌(日眼会誌)は、いずれも日本の眼科学の学術的基盤であり、長年にわたり臨床・研究の双方を支える重要な役割を担ってきました。これらの誌面は、国内外の研究者にとって信頼できる知識を共有する場であると同時に、「眼科学の進歩を通じて人々の健康や社会に貢献する」という、日本眼科学会の目的の具現化の一つでもあります。
 なかでも、JJOは、近年、オープンアクセス化の導入により、世界からの注目度が飛躍的に高まりました。投稿数の増加に伴い、質の高い査読体制の維持と迅速な編集対応が求められています。編集委員会では第一の目標としてインパクトファクター(IF)3.0の達成を掲げ、被引用数の増加とともに、国際的プレゼンスの向上を目指しています。これは一朝一夕に成し遂げられるものではありませんが、会員の皆様のご協力によって、着実に実現可能な目標であると考えています。IFの算定は、1年前と2年前に出版された論文が当該年度の1年間に何回引用されたかによって決定されます。論文執筆の際は、各分野の著名な先生方が執筆されているForefront review(すべてオープンアクセス)や日本眼科学会のホームページ上に掲載されている出版後2年以内の分野別のJJO掲載論文リスト<https://www.nichigan.or.jp/member/journal/jjo/search_recent_articles/>をご活用いただき、積極的な引用にご協力いただければ幸いです。本年6月からは、平塚義宗新編集長の下、投稿から、査読、受理、発刊までのプロセスが刷新され、査読期間もより短縮される見込みです。会員の皆様におかれましては、日本の眼科研究を世界に発信するための投稿先としてJJOをご考慮くださいますよう、よろしくお願いします。
 一方、日眼会誌は、120年余の歴史を誇り、全眼科医に頒布される、眼科領域和文雑誌の最高峰です。若手医師を含む国内の研究者にとって、日眼会誌への原著投稿は学術的な登竜門としての意義を持ちます。症例報告(1例報告も歓迎)を含む原著論文から総説、ガイドラインに至るまで、国内研究の発信媒体として、今後ますますその重要性は高まっていくでしょう。査読・校正に対する満足度は70%以上と高く、採択率も比較的高い(2024年度は88.2 %)ことから、投稿者にとっても利点が多い雑誌です。専門医を目指す方にはカラー掲載無料の特典があり、年間最優秀論文には賞金100万円が授与されます。6月からは新たな編集委員を迎え、専門性の高い多様な視点のもと、より魅力ある誌面づくりを進めてまいります。会員の皆様からのご投稿を心よりお待ちしております。
 両誌の編集方針に共通するのは、「質の高い学術情報を、誰もがアクセス可能な形で発信すること」です。そのためには、編集委員会の運営だけでなく、査読体制の強化、投稿支援(特に統計解析に関する助言体制の整備)など、全体のエコシステムの改善が求められています。今後は、読者・著者・査読者の三者にとって使いやすく、また信頼される学術誌を目指してまいります。
 最後に、これらの取り組みは、編集委員会だけでは成し得ません。学会員の皆様一人ひとりのご理解とご協力があってこそ、JJOも日眼会誌も、真に世界に誇れるジャーナルへと成長していけるものと信じております。今後とも、温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 末筆になりますが、長年にわたりJJOの発展に多大なるご尽力とご貢献をされ、2024年9月30日をもって退任された澤 充前JJO編集委員長に改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。

公益財団法人日本眼科学会
常務理事 根岸 一乃