世界最大のsupranational眼科組織
Asia-Pacific Academy of Ophthalmology(APAO、アジア太平洋眼科学会)は、1960年に創立された国際学術団体です。現在、39の正会員・準会員団体から構成され、その内訳は27の各国・地域眼科学会と12の専門分科会学会です。
アジア太平洋地域には世界人口のおよそ50%が居住し、世界の眼科医の約60%が活動しています。名称からは地域色を想像しがちですが、APAOは眼科界にとって一大プラットフォームとなっており、近年は域外からの参加も増え、真のグローバル学会へと成長しています。
Marriotte盲点から抜け出すために
APAO年次総会はこれまでに40回以上開催され、なかでも香港は5回、シンガポールは来年を含めて4回と“常連”です。一方、日本での開催は1991年と2014年のわずか2回。日本は国際的視野において『Mariotte盲点』に入り込んでしまったかのようです。
2014年に東京で開催されたWorld Ophthalmology CongressⓇ(WOC)では、確かに日本の眼科は世界の注目を浴びました。しかし残念ながら、そのときのmomentum(勢い)は維持されず、国際的なプレゼンス向上につなげられなかったのが悔しい現状です。アジア各国の医療レベルが爆速で向上している今、「日本はアジアの盟主」という過去の甘い幻想は、いったん鴨川にでもドボンと流し捨て去るべきです。
3年前から開始した日本への招致活動
だからこそ、APAOを再び日本で開催し、日本の若手眼科医の意識を世界へ向けてもらうとともに、海外の眼科医たちに「今の日本の眼科」をしっかり見てほしい。そんな強い思いから、日本眼科学会(日眼)では3年前から招致活動を行ってきました。そして、2026年2月に香港で行われたAPAO Council Meetingでの投票の結果、見事に日本が2029年の開催国として選出されました!
開催地は京都、期間は2029年3月29日(木)~4月1日(日)で、第133回日眼総会との同時開催となります。春爛漫の京都で、日本の眼科学の最先端と古都の美しさを同時に堪能していただけることになります。
この機会を生かそう!
APAOを日本で開催する意義は、単に「国際学会をホストする名誉」にとどまりません。
第一に、日本の眼科医、特に若手医師が、パスポートを持たずとも(そして時差ボケに苦しむことなく)アジア太平洋地域の熱気と最先端の知見に直接触れる絶好の機会となります。
第二に、言語の壁によりガラパゴス化しがちな日本の優れた臨床技術や研究成果を、ホームグラウンドで世界に向けてアピールする最大のショーケースになります。
そして何より、国内の眼科医、とりわけ次世代を担う若手医師にとって、世界中から集まるトップランナーたちとの交流は、新たな人的ネットワークの「シナプス」を形成し、将来にわたる計り知れない財産となるはずです。
日本の眼科を挙げて
2029年のAPAO京都開催を、日本の眼科があらためて国際社会のなかで存在感を示し、次の時代への一歩を踏み出す節目にしたいと考えています。会員の皆様におかれましても、ぜひこの機会を「海外の先生が来る学会」としてだけでなく、「日本の眼科が外へ出ていく学会」として捉えていただき、ご支援とご協力を賜れれば幸いです。
桜の開花だけは自然にお任せするしかありませんが、少なくとも学術の花は満開にしたいと思っております。
国際学会に参加しよう~京都へのステップアップ
言うまでもなく、2029年のAPAO京都がいきなり魔法のように盛り上がることはありません。これから3年で、日本の眼科全体で国際学会への「順応」のレベルを引き上げていく必要があります。国内学会での英語対応も着実に進められていますが、何より重要なのは若手眼科医の「現場体験」です。
どんな規模の学会でも構いません。まずは海外へ飛び出し、その場の空気を吸い、ポスター発表から始めてOralへとステップアップしていきましょう。その第一歩として、まずは来年のシンガポールAPAO(2027年3月18日~21日)はいかがでしょうか。「京都の主役」になるための予習として、ぜひ現地でお会いしましょう!
公益財団法人日本眼科学会 常務理事
アジア太平洋眼科学会(APAO) President
大鹿 哲郎