理事会から

2023/07/10

公益財団法人である日本眼科学会の会計

 令和5年4月から、日本眼科学会の会計理事を拝命しました。これまで日本眼科学会の関連学会である日本角膜学会、日本眼感染症学会で会計理事をさせていただいた経験はありますが、日本眼科学会は学会会員数が約1万6千人と大きく、予算規模も多額であり(年間約5億5千万)、責任の重さを感じております。また、公益財団法人であることが多くの関連学会と大きく異なります。
 「公益財団法人」という言葉を聞いたことはあっても、詳しく理解している眼科医は多くはないでしょう。「公益財団法人」とは「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(平成20年12月1日施行)に基づいて設立される法人で、日本眼科学会は平成25年(2013年)に財団法人から公益財団法人に移行しました。「公益目的事業」として認められるのは「学術、技芸、慈善その他の公益に関する事業で、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」とされ、23事業が挙げられています。「学術」のみならず、「技芸、慈善その他の公益」をも含んで「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与」するには高い見識と実行力が必要となってきます。
 そして公益財団法人では、「遵守しなければならない会計3原則」があります。
 具体的には、
(1)収支相償:公益目的事業について、赤字または収支プラスマイナスゼロでなければならない、すなわち公益目的事業では収益を上げてはいけない。
(2)公益目的事業比率:公益目的事業費が支出全体の50%以上とならなければならない。
(3)遊休財産保有制限:1年分の公益目的事業費と同額を超えて保有してはならない。
というものです。
 この会計3原則にある公益目的事業として、日本眼科学会では、
 1:学術集会開催に関する事業
 2:学術書刊行に関する事業
 3:専門医認定、生涯教育、研修施設認定の事業
を掲げています。
 日本眼科学会の決算では、上記の会計3原則をクリアできていることが必須であり、公益目的3事業のそれぞれの収支や、公益目的事業費が支出全体の50%以上であることを確認しています。一方、公益性が認定されることで、税制の優遇措置を受けることができます。日本眼科学会が公益財団法人であることと学会の会計は大いに関係します。
 「公益財団法人」に移行して10年が過ぎました。今後も公益性の高い事業を行い、会計3原則を遵守し、「公益財団法人」であり続けることで、日本眼科学会は社会からのさらなる信頼を獲得できると思われます。会員の皆様には、今後もご協力をお願い申し上げます。

 

公益財団法人 日本眼科学会
常務理事 外園 千恵