21文科振第6207号
平成21年8月17日
関係各一般財団法人の長 殿
文部科学省研究振興局長
磯田 文雄
「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」の改正について(通知)
ヒトES細胞(ヒト胚性幹細胞)の樹立、分配及び使用にあたっては、これまで「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」(以下「ES指針」という。)に基づき、各機関において生命倫理上の観点からその適切な管理を求めてきております。
今般、文部科学省では、ES指針の制定(平成13年)以降、ヒトES細胞を使用した研究の実績が蓄積され、ヒトES細胞の生命倫理上の位置づけや取扱いについての認識が深まってきたことを踏まえ、ES指針を改正し、ヒトES細胞の使用に係る手続の緩和を図ることとしています。
改正後の指針は本年8月21日に公布・施行の予定であり、その概要等は別添のとおりです。
改正後の指針では、特にヒトES細胞を使用する研究に関し、その手続を緩和することで研究を行いやすくするとともに、現行ES指針から「ヒトES細胞の使用に関する指針」を独立させることで分かりやすい内容となるよう変更を行っております。また、併せて「ヒトES細胞使用計画の実施の手引き」という冊子を作成し、研究開始にあたって必要な手順等を解説いたしました。
つきましては、貴学内又は貴機関内において、現在ヒトES細胞を使用した研究を実施又は計画している研究者等や、その他iPS細胞、ES細胞等の幹細胞研究に携わる関連の研究者等に対し、周知いただきますようお願いいたします。
(別添)
1.改正の概要
(1)使用計画の実施に係る手続等
- 使用計画の開始や変更にあたっての手続
ヒトES細胞の使用計画の開始や変更にあたっては、倫理審査委員会の審査の後は、国(文部科学省)へは届出のみでよいこととしました。
※これまでは、使用計画について倫理審査委員会の審査に加え、事前に国の確認を受けること(二重審査)が求められていました。
- 他の機関に設置された倫理審査委員会による審査の活用
使用計画に関する倫理審査については、共同研究先など他の使用機関内に設置された倫理審査委員会(ヒトES細胞研究の審査実績のある倫理審査委員会)の活用も可能としました。
※これまでは、自らの使用機関内に設置された倫理審査委員会による審査に限って認められていました。
- 研究者の変更手続の簡素化
研究者(使用責任者を除く。)の変更に際しては、使用機関の長の了承を経た後は、倫理審査委員会及び国に対しては報告のみでよいこととしました。
※これまでは、研究者の変更についても倫理審査委員会の審査が求められていました。
- 加工ES細胞の他の使用機関への分配・譲渡の制限の撤廃
遺伝子の導入等により加工されたヒトES細胞の他の使用機関への分配・譲渡については、目的に制限を設けないこととしました。
※これまでは、「研究の再現性の確認」の目的に限り加工ES細胞の分配・譲渡が認められていました。
- 分化細胞の使用や譲渡の際の手続の簡素化
ヒトES細胞から分化した細胞の他の使用機関への譲渡に際しては、当該分化細胞がヒトES細胞に由来することを譲渡先に通知するだけでよいこととしました。
※これまでは、当該通知に加え、機関内倫理審査委員会の審査や国への報告も求められていました。
※このほか、指針改正を伴わない運用レベルの見直し事項として、研究の実施に当たり、必ずしもヒトES細胞専用の実験室の設置は必要ないこととしています(既に実施済)。
(2)その他の手続等の緩和(樹立、分配関係)
その他、ヒトES細胞の樹立計画の変更や海外への分配に際しての手続(提出書類等)についても簡素化しました。
2.改正後の指針の公布・施行時期
本年8月21日(金曜日)以降は、改正後の指針に基づき手続を行っていただくようお願いします。
3.改正後の指針のホームページへの掲載等について
(1)改正後の指針(「ヒトES細胞の使用に関する指針」及び「ヒトES細胞の樹立及び分配に関する指針」)や研究開始時の手続等について分かりやすく解説した冊子「ヒトES細胞使用計画の実施の手引き」等は、以下のホームページを御参照ください。
(2)このほか、改正後の指針について不明な点等がございましたら、以下の連絡先まで遠慮なくお問い合わせください。
【お問い合わせ先】
文部科学省 研究振興局
ライフサイエンス課 生命倫理・安全対策室
美留町(びるまち)、麻田
〒100-8959
東京都千代田区霞が関3-2-2
Tel:03-5253-4111(内線4113)
E-mail:ethics@mext.go.jp