English
会員専用コンテンツ
甲状腺眼症(TED)においては、免疫学的な病態の解明が進む中で分子標的薬の開発が進展し、日本でも複数の治験が実施されています。このため、従来のステロイド療法に加えて治療選択肢の増加が見込まれており、日眼会員への情報提供や適正な診療を支援することを目的としたワーキンググループが日本眼科学会に発足しました。本ワーキンググループは、日本甲状腺学会の内科医師との連携を取り、『甲状腺眼症診療の手引き』の改訂にも取り組みます。 本年9月には、インスリン様成長因子-1受容体を標的とするモノクローナル抗体であるテプロツムマブが日本で承認されました。テプロツムマブは点滴製剤であり、3週間ごとに8回投与されます。この治療では、脂肪組織や外眼筋の腫大が改善し、眼球突出や眼球運動の改善が期待されます。日本人TED患者を対象としたOPTIC-J試験でも、24週時点で、プラセボ投与群の11%と比較し、テプロツムマブ投与群では89%の患者において2 mm以上の眼球突出の改善が確認されています。 特筆すべき有害事象として、聴覚障害と血糖値の上昇があり、治療前から耳鼻科医および内科医との連携のもと、慎重に評価を行うことが求められます。 長期的な有効性や有害事象の持続など現時点では不明な点もあり、今後も本ワーキンググループから重要な知見については皆様に情報共有をしていく予定です。
日本眼科学会甲状腺眼症診療ワーキンググループ 委員長 神前 あい
一覧へ戻る