今般、水晶体再建術後に真菌(Sarocladium kiliense)による眼内炎の発症が確認された国内の複数事例において、武藤化学株式会社が製造したトリパンブルーが用いられており、当該染色試薬(研究用試薬)が真菌に汚染されていた可能性が高いとの報告が、国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所からありました。
また、詳細は不明ながら、フィルターを通した上でトリパンブルーを使用した例も含まれております。
第一報を会員専用ページにてお知らせいたしましたが、このたび、学会において医療機関に対して注意喚起すべき内容を整理いたしましたので、お知らせいたします。
■ 当面の対応
- 医療用以外のトリパンブルーの使用は当面控えてください。
- 代替製品の使用を検討してください。
■ 代替製品の例
- 医療用トリパンブルー(国内未承認)
(例)VisionBlueⓇ(個人輸入品)等
- 医療用ブリリアントブルーG(国内未承認)
(例)ILM-BLUEⓇ、TissueBlueTM(個人輸入品)等
- 国内承認済みの他の色素(適応外使用)
(例)ジアグノグリーン
※ 現時点で、眼科手術用に承認された代替品は存在しないことから、上記の代替品の使用にあたっては、各医療機関において有用性・安全性を検討の上、それぞれの責任において使用してください。なお、国内未承認の医薬品を、治療上の緊急性があって、医療従事者が自己の患者の治療に用いる目的で個人輸入する場合は、関東信越厚生局又は近畿厚生局に対して輸入確認申請の手続きが必要となります。また、未承認医薬品の使用により発生した副作用については、医薬品副作用被害救済制度の対象とはならず、承認済みの医薬品であっても適応外使用の場合は給付対象とならない可能性があります。
■ 代替製品使用についての法的留意事項
- 特定機能病院等では、医療法に基づき、未承認新規医薬品等の使用について所定の対応部門で使用の可否を検討すること等が規定されています。
- その他の医療機関についても、医療法上、上記に準じた対応が推奨されていますので、この点にもご留意ください。
■ 今後の対応
- 本件については、厚生労働省とも連携して対応してまいります。日本眼科学会、日本眼科医会、日本眼感染症学会としても、引き続き情報収集を行い、適宜、対応についてお知らせいたします。
- 日本眼科学会、日本眼科医会、日本眼感染症学会では、今後、眼科手術で安全に使用できる染色剤のあり方について検討を進めてまいります。
■ 本件に関するお問い合わせ先
本件に関するお問い合わせにつきましては、各学会の事務局までご連絡ください
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