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2025/12/24
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テプロツムマブ適正使用に関する注意事項New

 甲状腺眼症に対する分子標的薬であるテプロツムマブ(テッペーザ®)の投薬に関して、投与スケジュールの計画や診療録への記載等の要点を甲状腺診療ワーキンググループで整理しました。薬価が非常に高額であり、添付文書を遵守した適正な投与を推奨いたします。

  1. 投与スケジュール
    添付文書では以下のように記載されており、3週間間隔を基準とした運用が原則となります。
    「通常、成人には、初回10 mg/kg、2回目以降は20 mg/kgを3週間間隔で計8回点滴静注する。」
    年末年始など、施設運用上の都合により投与日が変更となる可能性がある時期には、3週間未満の投与は避け、3週間を超えての投与になるよう、十分なスケジュール調整をお願いいたします。
  2. 適応症「活動性甲状腺眼症」の診療録での明記
    本薬剤の保険適応は「活動性甲状腺眼症」です。そのため、活動性であることが診療録に明記されるべきであり、この点が不明瞭な場合には査定対象となる可能性があります。また、眼球突出は同薬剤を用いた治療の根拠とならないことにご留意ください。
    ■ 診療録・詳記への推奨記載内容
    ・CAS(Clinical Activity Score)が3点以上であること
    ・MRIにて外眼筋・眼窩軟部組織の炎症所見を認めること
    上記のいずれか、または両方を記載することで、適応病名の根拠がより明確になります。
  3. 再発例への投与
    テプロツムマブ治療後に活動性が再燃した甲状腺眼症に対する有効性がOPTIC-X試験で報告されています (Douglas et al. Ophthalmology 2022)。保険診療においては、上述のとおり、活動性が確認されていることが本薬剤の適応において必須であり、CASやMRIによる評価を行ったうえで適応について慎重にご検討いただきますようお願いいたします。
日本眼科学会甲状腺診療ワーキンググループ
委員長
神前 あい オリンピア眼科病院
委 員
秋山 雅人 九州大学眼科
安積  淳 神戸海星病院眼科/アイセンター
井上 立州 オリンピア眼科病院
小幡 博人 埼玉医科大学総合医療センター眼科
北口 善之 大阪大学眼科
後関 利明 国際医療福祉大学熱海病院眼科
髙橋 靖弘 愛知医科大学病院眼形成・眼窩・涙道外科
三村 真士 兵庫医科大学眼科
渡辺 彰英 京都府立医科大学眼科