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網膜静脈(『眼球の構造と機能』参照)の枝の1本が詰まって、血流が低下するために、網膜の一部に出血(眼底出血)が生じる病気です。 網膜中心静脈閉塞症と共通する点も多いですが、違う点もあります。完全に失明することはほぼありませんが、動脈硬化のひどい人は虚血性視神経症を合併し、そこから失明することもあります。網膜中心静脈閉塞症よりも発生率が高く、約4~5倍多いとされています。
急速な視野異常、変視症、視力低下が生じますが、全く無症状で気付かないうちに跡形になって、そこに発生した新生血管から硝子体出血を起こしてはじめて発見されることもあります。視野異常は典型的には(斜め)上半分か下半分に、薄暗く見えにくい範囲が出現します。残りの半分がほぼ問題なく見えているのが特徴です。ほとんどの人が、一部歪んで見える自覚症状を訴えますが、視力低下は黄斑のむくみの程度により、0.1程度から1.0以上と正常に近いものまで様々です。
多くの場合、脳卒中と同じで、高血圧・動脈硬化が原因です。糖尿病などもリスクを高める一因です。したがって、中高年に生じることが多く、大規模臨床試験の平均年齢は60-65歳です。眼科治療と同時に、高血圧、高脂血症、動脈硬化といった基礎疾患の治療を行うことも重要です。
病変の範囲、血管閉塞の程度を知るために眼底検査をします。視力に影響する黄斑のむくみの程度を評価するために、光干渉断層計(OCT)検査を行います。蛍光眼底造影検査を行い、網膜の循環状態を調べることで、病気のタイプ、状態など治療方針の決定に重要な情報を得ることができます。
黄斑のむくみのために視力低下をきたしている場合は抗VEGF治療が行なわれることがほとんどです。視力がいい場合は、様子を観ることがあります。また、副腎皮質ホルモン(ステロイド)を眼球の外側に注射することもあります。 黄斑のむくみがなかなか引かない場合や、病変範囲が広い時に硝子体出血や牽引性網膜剥離を予防するために、レーザー治療(網膜光凝固術)を行うことがあります。また、硝子体出血や網膜剥離を生じた場合には硝子体手術を行うことがあります。
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