病態
網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)とは、網膜の中を流れる静脈の一部(枝)が詰まってしまう病気です。

目の血流
血液の流れが滞ることで、詰まった血管から血液や血漿成分が漏れ出し、網膜に出血(
黄斑出血)やむくみ(
黄斑浮腫)が起こります。
黄斑浮腫が中心部(黄斑部)まで及ぶと、視力が低下したり、ものがゆがんで見えるようになります。
病気が進行すると、血流の悪くなった部分(虚血部)に
新しい血管(新生血管)が生えてきます。
これらの血管は非常にもろく、硝子体出血や牽引性網膜剥離を引き起こすことがあります。
同じ血管が詰まる病気である
網膜中心静脈閉塞症と似ていますが、分枝閉塞症の方が発症頻度が高く、日本ではおよそ
網膜中心静脈閉塞症の4〜5倍といわれています。
完全に失明することはまれですが、視力に大きく影響することがあるため注意が必要です。

血管が詰まった領域に網膜出血が見られる。
症状
突然、見えにくい部分(視野の欠け)が現れたり、ものがゆがんで見える(変視症)ことがあります。また、視力が急に低下することもあります。
一方で、自覚症状が少ないまま進行し、新生血管からの出血(硝子体出血)によって初めて気づくこともあります。
視野異常は、網膜の詰まった血管の位置によって変わります。
典型的には、上下どちらかの半分が暗く見えにくくなりますが、残りの半分は比較的よく見えるのが特徴です。
視力低下の程度は、黄斑浮腫の強さに比例します。軽い場合は0.1〜0.5程度、軽症では1.0近く保たれることもあります。
原因
主な原因は、高血圧や動脈硬化、緑内障、遠視などです。また、糖尿病や脂質異常症(高脂血症)も発症リスクを高める要因とされています。
そのため、60歳以降の中高年で多くみられます。
発症を予防するためには、これらの基礎疾患をきちんと管理することが大切です。
眼科での治療と並行して、内科での血圧・血糖・脂質コントロールを行うことが重要です。
検査
まず眼底検査を行い、出血の範囲や血管の詰まり具合を観察します。
視力に関係する黄斑浮腫の有無や程度を調べるために、光干渉断層計(OCT)検査が有用です。
OCTでは、詰まった血管の領域に黄斑浮腫が生じている様子を確認できます。
また、蛍光眼底造影検査を行うことで、血流の途絶している範囲(虚血領域)や新生血管の有無を詳しく評価します。
治療
黄斑浮腫が原因で視力が低下している場合、抗VEGF薬(血管新生抑制薬)の硝子体内注射が最も一般的な治療です。

硝子体注射
これは、むくみを改善して視力の回復を図る治療で、効果を維持するために数回の注射が必要になることがあります。
視力が比較的良好な場合は経過観察とし、必要に応じて
ステロイド薬の注射を行うこともあります。
虚血が広い場合には、網膜光凝固術(レーザー治療)を行って新生血管の発生を防ぎます。
もし新生血管からの出血や網膜剥離が生じた場合は、
硝子体手術による治療を行います。
監修:日本網膜硝子体学会 (参考:
https://www.jrvs.jp/)