病名から調べる

黄斑円孔

病態

黄斑円孔は、網膜の中心にある黄斑部の中心窩に小さな穴(直径0.1〜0.5mm程度)があく病気です。
ものを見る中心部分に障害が起こるため、視力の低下やもののゆがみ(変視症)がみられます。
50歳以上の中高年に多く発症し、女性は男性の2〜3倍程度多いとされています。
多くは片眼に起こりますが、数か月から数年後にもう一方の眼にも発症することがあります。
また、強度近視の方では比較的高い頻度で発症し、頭部や眼の打撲によって若年者に発生することもあります。


黄斑円孔の眼底写真。中心窩に円孔があいて、視力が低下している。

症状

見ようとする中心部が暗く見える、抜けて見える、またはゆがんで見えるようになります。
周囲は比較的よく見えますが、中心の視力が低下するため、読書や細かい作業が困難になります。
視力は0.1〜0.5程度まで下がることが多く、放置して自然に改善することはほとんどありません。

原因

最も多いのは、加齢に伴う後部硝子体剥離が原因となる黄斑円孔です。
加齢とともに眼の中のゼリー状の組織(硝子体)が収縮し、網膜から剥がれ始めるときに、黄斑部の中心(中心窩)を強く引っ張ることで網膜に円孔があきます。
このような機序で生じるものを特発性黄斑円孔と呼びます。
そのほか、強度近視、外傷、嚢胞様黄斑浮腫などの疾患に続発する場合もあります。


黄斑円孔
 

検査

眼底検査で黄斑部を観察し、円孔の有無を確認します。


特に有用なのが光干渉断層計(OCT)検査で、網膜の断面を高精度に画像化し、円孔の大きさや形、周囲のむくみの程度を詳しく評価できます。
この検査によって、治療方針や経過観察の判断が可能になります。


黄斑円孔のOCT画像。中心窩に円孔があいている。

治療

自然に閉じることはまれで、硝子体手術が標準的な治療です。
手術では、網膜を引っ張っている硝子体を取り除き、網膜表面の薄い膜(内境界膜)をはがして、円孔を閉じやすくします。
さらに、眼内にガスを注入して網膜を内側から押し付けることで、黄斑円孔を閉鎖させます。
術後は、ガスが黄斑部に当たるようにうつ伏せ姿勢を一定期間保つことが大切です。
多くの症例で円孔は閉鎖し、視力の改善も期待できますが、完全に元の視力に戻るとは限りません。
数日から1週間程度で閉鎖することが多いものの、閉じない場合は再手術を検討します。


黄斑円孔に対する硝子体手術後のOCT画像。黄斑円孔は閉鎖し、中心窩の形態が回復している。


監修:日本網膜硝子体学会
 (参考:https://www.jrvs.jp/