病名から調べる

円錐角膜

原因・病態

はじめに

円錐角膜は、若年者において視力低下を来す代表的な疾患で、多くは10代に発症し徐々に角膜が薄くなり尖ってきます。男性にやや多く、450~2,000人に1人程度はいるといわれています。円錐角膜が軽度の間は普通の近視や乱視として見逃されがちですが、進行すると眼鏡ではよく見えなくなり、コンタクトレンズが必要になります。コンタクトレンズでも見えにくい状態になると、角膜移植手術が必要になります。しかし、現在では円錐角膜を早期に見つけ、適切な治療を受けることで、視力低下を防ぐことができるようになりました。

原 因

円錐角膜の発症にはさまざまな要因が関係します。発症しやすい体質に、アレルギー性結膜炎などで目をよく掻くなどの要素が加わることで進行しやすくなると考えられています。

角膜の構造

角膜とは俗にいう“黒目”と呼ばれる部分です。透明な直径11mmほどの円形をしています(図1)。実際には、コラーゲンなどの重なった層構造をしていて、厚みは0.5 mm(500μm)ほどです。


図1 角膜
黒目の表面の透明な部分を角膜という。

円錐角膜の臨床

円錐角膜は、思春期に角膜が徐々に薄くなりとがっていきます(図2)。近視や乱視が急に進み、これまでのメガネやコンタクトレンズでは良い視力が出なくなります。進行するとコンタクトレンズでも視力が出にくい状態になります。早めに発見し、適切な治療を受けることが重要です。 円錐角膜が軽度の間は普通の近視や乱視として見逃されがちですが、進行すると眼鏡ではよく見えなくなり、コンタクトレンズが必要になります。コンタクトレンズでも見えにくい状態になると、角膜移植手術が必要になります。しかし、現在では円錐角膜を早期に見つけ、適切な治療を受けることで、視力低下を防ぐことができるようになりました。


図2 正常な角膜(左)と円錐角膜(右)

検 査

早期発見には、角膜の形を計測できる機器での検査をお勧めします。一目瞭然で診断することができます(図3)。


図3 角膜形状解析検査で調べた正常な角膜(左)と円錐角膜(右)

治 療

近視、乱視矯正の方法

メガネ、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、その他特殊レンズなど症例に応じて選びます。専門医にお尋ねください。(あるいは円錐角膜研究会ホームページへ)

アレルギー性結膜炎のコントロール

目を掻くことで円錐角膜が進行すると考えられています。アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎などのある方は、適切な点眼薬を使用して、かゆみを抑え、擦らないようにしてください。

角膜クロスリンキング(厚生労働省未承認)

薬(リボフラビン)を点眼した後に角膜に紫外線を照射することで角膜を硬くして円錐角膜の進行を止める治療です。厚生労働省未承認のため自費診療です。

手 術

角膜移植術、角膜リング、その他、症例に応じて選択します。

メッセージ

円錐角膜と診断された人、疑いがあると言われた人は、毎回受診してもなにも変わらない、と思うかもしれません。しかし定期的に受診することが、進行を抑え、長期予後の改善につながります。ぜひあきらめずに受診を継続してください。

参考サイト

円錐角膜研究会 https://keratoconus.jp
関連する病名 近視・遠視・乱視、アレルギー性結膜炎