病名から調べる

先天性鼻涙管閉塞、新生児涙嚢(るいのう)炎

原因・病態

涙は涙腺で分泌され、眼表面を潤したのち、涙点に吸収されます。そののち、涙小管を経て涙嚢にたまり、鼻涙管を通って鼻の奥に排出されます。
赤ちゃんのなかには、鼻涙管に薄い膜のようなものが残り、鼻涙管が開通していない場合があります。これを先天性鼻涙管閉塞と呼びます。鼻涙管がふさがっていると、分泌された涙が鼻へと流れず、涙嚢にたまります。涙が溜まった涙嚢は細菌感染を起こしやすく、このために涙嚢に炎症がおきたものを新生児涙嚢炎と呼びます。新生児涙嚢炎を起こした赤ちゃんは、常に目が潤んでいる、目やにがたくさんでている状態になります。また、涙嚢(目頭から1cm程度下方)の部分が腫れることもあります。
鼻涙管閉塞の診断には、蛍光色素を点眼し、しばらく待ってみて色素が涙点から吸収されるかを観察し、鼻涙管が開通しているか調べる検査がよく行われます。また、涙点から生理食塩水を流した時に、生理食塩水が逆流してくるとその診断となります。その食塩水に膿が混じっている場合、新生児涙嚢炎を発症していると考えます。
治療には、目やにが目立っている・涙嚢の周りの炎症が目立つ場合には、抗生物質の目薬を使用します。加えて、涙嚢マッサージを施行し膿の排出を促します。これらで、鼻涙管の自然開通が見込めない場合には、鼻涙管開放術(ブジー)を行います。これは、涙点から細い針金のようなもの(ブジー針)を鼻涙管に差し込んで、涙の流れを邪魔している膜を突き破るという方法です。この治療は、通常、1歳未満の乳児が対象となり、外来で行われます。ごくまれですが、この鼻涙管開放術を行っても開通できないことがあり、この場合は手術を行うこともあります。 内視鏡手術も普及しています。

この病気は自然開通することが多いため、治療の方法もまちまちです。1歳になるまで鼻涙管開放術を行わないでよいとする報告や、いつでも涙が溜まった状態がお子さんのストレスになりかねないとする観点から、早めの鼻涙管開放術を勧める報告まであります。
赤ちゃんの目が潤んでいる、眼脂が目立つ場合、先天性鼻涙管閉塞、新生児涙嚢炎の可能性があります。はやめに、お近くの眼科医へご相談ください。

涙嚢炎に似た病気として以下のようなものが挙げられます。
麦粒腫、霰粒腫、涙小管炎、眼窩蜂窩織炎など。

先天性鼻涙管閉塞症による流涙
関連する病名 鼻涙管閉塞症、新生児涙嚢炎