病名から調べる

ドライアイ

原因・病態

■はじめに

涙には、目の表面に広がって崩れない性質がありますが、その性質が失われ、崩れやすくなり、目の不快感や見えにくさを生じる病気がドライアイです。日本で2200万人もの患者さんがいるといわれ、さらに増加しつつあります。

■涙の産生と排出

涙は、涙腺で作られ、瞬きで目の表面に広がり、一部は蒸発しながら「涙点」という目頭の小さい穴から鼻の奥に排出されます(図1)。

 

図1.涙の産生と排出

■涙の構造

目の表面に広がる涙は、一枚の膜のように目の表面を覆い(涙液膜)ますが、涙液膜は、表面から、油の層とタンパク質などを含んだ水の層の2層からなります。ドライアイでは、涙液膜が崩れやすく(図2)、その下の細胞にキズ(図3)ができることがあります。

図2.健康な涙液膜(左側の図)とドライアイの涙液膜(右側の図)


図3.ドライアイにおける涙液膜の崩れ(黒く筋状に見えている部分)と眼の表面のキズ(点状に色素で染まっている部分)

■ドライアイの症状

ドライアイの症状は「目がかわく」だけでなく「目がかすむ」、「まぶしい」、「目が疲れる」、「目が痛い」、「目がゴロゴロする」、「目が赤い」、「涙が出る」、「目ヤニがでる」などさまざまです。

■ドライアイの危険因子

ドライアイの危険因子として、加齢(加齢で、涙の量や性質が低下)、女性、ライフスタイル(長時間画面を見る)、生活環境(低湿度、エアコン下、送風)、コンタクトレンズ装用、喫煙、飲み薬(涙の分泌を減らす作用のある飲み薬)、目薬(防腐剤など)、涙の油を作るマイボーム腺の病気、加齢でできる結膜(白目)の皺、全身の病気(涙腺が免疫の作用で傷つくシェーグレン症候群や関節リウマチなどの膠原病)などがあります。

■ドライアイの検査

目の表面における涙液膜の崩れやすさは、涙を色素で染めて、目を開けたままにして、何秒で涙液膜が崩れ始めるかを調べます、同時に、その色素で目の表面のキズも検査できます(図3)。涙の分泌をシルマーテストと呼ばれる検査で調べることもあります。

■ドライアイの治療

軽い症状は、市販の目薬でも改善できますが、眼科では、涙の不足成分を補う目薬、目の炎症を抑える目薬、涙点に栓(涙点プラグ)をして涙をためる治療(図4)などで改善を目指します。画面を見る作業やコンタクトレンズの装用を減らしたり、エアコンを調整したり、加湿器を使うことも効果があります。

図4.涙点プラグ治療(上と下の涙点に涙点プラグを挿入したところ)

■おわりに

ドライアイは、慢性的な目の不快感や見えにくさを生じて生活の質を低下させる病気ですが、治療も進歩してきていますので、症状が強ければ眼科を受診しましょう。
参照:ドライアイ研究会HP